介護資金に対する預金保険制度の活用

預金保険制度とは銀行預金の払出が出来なくなった場合等に預金者を保護し、資金決済の確保を図ることで、信用秩序の維持に資することを目的とする制度です。

皆様、元本1,000万円とその利息は保護されることはよくご存じの様で、銀行には1,000万円までしか預けない、と決めて取引行をどんどん増やされる方もいらっしゃいます。

しかし、取引銀行を増やせばその分管理の手間が増えて行きます。ここでは、

  第1講 預金保険制度の保護の範囲

  第2講 介護資金への活用

という形に講を分けて、預金保険制度の活用方法を考えてみたいと思います。

第1講 預金保険制度の保護の範囲

ここで保護される預金の範囲を確認します。

  ●全額保護される預金:決済性預金

  ●合算元本1,000万円とその利息まで保護される預金:一般預金

  ●保護対象外預金:外貨預金、譲渡性預金等

 決済性預金とは「無利息・要求払い・決済サービスを提供できる預金のことです。当座預金や利息の付かない普通預金が該当します。

 定期預金、利息の付く普通預金、通知預金等の一般預金は合算して元本1,000万円までとその利息は保護されますが、元本1,000万円を超える部分の払戻は破綻金融機関の財産の状況に応じる事となります。

 預金保険の対象外預金等は保護の対象外で、支払は専ら破綻金融機関の財産の状況に応じる事となります。

 一般の方は利息の付く普通預金と定期預金しかお持ちにならない事が多いので、1行当りの元本を普通預金と定期預金で合計1,000万円としない限り、預金全額の資産防衛が出来ません。

 しかし普通預金が無利息型であれば、決済用預金として、その普通預金は全額保護対象となります。普通預金を無利息型に替えることで、普通預金残高は全額保護される上、保護元本1,000万円は満額定期預金に充てることが出来ます。

第2講 介護資金への活用

 ご高齢となっても多くの金融機関口座をお持ちになって運用される方もいらっしゃると思いますが、お歳を召して身体がご不自由になっても若い時と同様に多くの銀行口座を管理するという事は中々骨の折れるものです。万一ご本人の意思確認が出来なくなった場合は、金融機関に払出制限をされてしまう可能性もあります。

 このような事態への対策に、事前に介護施設利用料等を自動振替にしておく方法が有効となります。ご本人の意思が確認できなくなると金融機関は払出制限を行いますが、ご本人の意思が確認できる間に締結した自動振替契約は、通常は払出制限の対象とされないからです。

 また、自動振替口座が無利息型の普通預金口座なら、預入先金融機関に万一の事があっても、その普通預金は全額保護の対象となります。

終講 まとめ

 ご高齢となり施設に入られたお父様お母様の施設利用料を、ご本人の普通預金口座から引き落として頂いている方も多い事と思います。引落口座を無利息型とすることで1,000万円の限度額を気にすることなく預け入れ出来ることは、介護費用等、預金管理方法の1つとしてご認識しておいて頂ければと思います。

 

      

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