定年後の働き方は大別すると「再就職」と「継続雇用」に分かれます。
ここでは「再就職」を行う際のポイントを確認して行きます。
退職後、再就職まで間が開く場合は雇用保険の失業等の給与(基本給付)の申請をすべきでしょう。会社から「離職票」を受け取り、住所地のハローワークに提出し、求職の申し込みを行い、受給資格が認められれば基本手当が受けられます。離職の日前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上有り、65歳未満で、働く意思を持って求職活動中だが再就職出来ない場合、給付金の対象となります。受給期間は離職日翌日から1年間ですが、離職日翌日以降1年以内に傷病等で30日以上継続して職業に就くことが出来ない場合はその期間分受給期間を延長申請することが出来ます。
60歳以上65歳未満で定年退職する場合はハローワークで求職申込をした日から通算7日の待機期間後、基本手当の支給がされます。気を付ける点は60歳定年退職後、継続雇用中に退職する場合です。自己都合退職扱いにされた場合、待期期間に2か月の給付制限期間が加わりますので要注意です。
なお、60歳で定年退職後、再雇用で働く際に、賃金が大幅に低下する場合の給付金として高年齢再就職給付金があります。基本手当を受けている60歳以上の方で、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上で、基本手当支給残日数が100日以上ある場合に給付されます。
支給期間は、残日数が200日以上ある場合は2年、200日未満である場合は1年(共に、65歳到達月まで)です。
支給要件は、賃金が、基本手当日額の算定基礎となった賃金日額×30×75%未満である場合です。
支給額は、賃金が、基本手当日額の算定基礎となった賃金日額×30×61%未満である場合は当月支払賃金×15%を最高に、以降75%に近付くにつれ逓減して行きます。
再就職手当が受け取れる場合は、再就職手当か高年齢再就職給付金の何れかを選択する事となります。
その他、退職後に確認しておいた方が良い事項を列挙しておきます。
雇用保険 | ・失業等給付試算のため、給与 明細を確認 ・雇用保険被保険者証の有無を 確認 ・退職時に会社から離職票を受 領 ・失業等給付を受ける場合、ハ ローワークで求職申込 |
公的年金 | ・ねんきん定期便等で加入記録 等を確認 (配偶者の分も同様) ・会社が年金手帳を保管してい る場合は受領 |
健康保険 | ・退職後、どの医療保険制度に 加入するか検討する (国民健康保険、任意継続被保 険者、家族の被扶養者) ・健康保険被保険者証の写しを 取っておく ・退職後、本人及び配偶者分の 健康被保険者証を返却 ・国民健康保険加入の場合は会 社から健康保険資格喪失証明 書を受領し、資格喪失後14 日以内に市町村窓口で手続き ・任意継続被保険者の場合は退 職後20日以内に手続き |
税金 | ・退職後の住民税支払資金を確 保 ・定年退職後、年末以前に退職 し、再就職しない場合は確定 申告が必要 |
住宅ローン | ・退職時に住宅ローンが残る場 合は残高を確認 ・退職後の返済計画に無理がな いか事前に試算 |
生命保険 | ・会社の団体保険に加入してい る場合、継続が可能か確認 解約する場合、退職後の保障 について検討 ・退職後の必要保障額を試算 |
定年後、「再就職」を選択する場合で再就職まで間が開く場合、精神的なプレッシャーは大きなものとなります。日本の場合、社会保険制度が充実していますが、分り易いものとは言えません。万一ハローワークでもカバーし切れない事が生じた場合は、FPに相談するのも方法の1つと言えます。