確定拠出年金・意外と知らないマッチング拠出とライフプラン拠出の違い

最近、確定拠出年金制度が改正され、企業型確定拠出年金を行っている方も、個人型確定拠出年金を行う事が出来るようになりました。しかし、ここで突き当たる壁がマッチング拠出です。

マッチング拠出がされている場合、企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金は一緒に積み立てることはできません。

他方、企業型確定拠出年金を行っている企業の中にはライフプラン拠出という方法をとっている企業もあります。ライフプラン拠出がされている場合は企業型確定拠出年金を積み立てている間でも個人型確定拠出年金の開設が出来ます。

同じ拠出金なのに何故このような違いがあるのでしょうか?

この違いはマッチング拠出は従業員拠出、ライフプラン拠出は企業拠出であることによります。既に従業員が拠出しているマッチング拠出の場合は、、個人の拠出を二重に出来ないという点で、個人型確定拠出年金を開設出来ないのです。

一見、共に拠出金控除後の金額が給与として支払われますので同じ様に見えますが、意外な相違点があります。それは額面給与への影響と社会保険料への影響です。

マッチング拠出=従業員拠出の場合は、先ず額面通りの給与を受け取った後に、従業員の給与から確定拠出が行われます。給与からの支払が前提ですので従業員の受け取る額面給与は拠出を行っても影響はありません。社会保険料は額面給与に基づいて計算されるので積み立てをしても、しなくても、負担する社会保険料は変わらないことになります。

ライフプラン拠出=企業拠出の場合は、事前に給与の中にライフプラン給付金という枠を設け、給与として支給できるものの、もし従業員が希望すれば、ライフプラン給付金を上限に、従業員が希望した金額を拠出金として差し引き、拠出金を控除した金額を給与として支払うという制度です。拠出する分、額面給与が減るため、拠出額が大きくなればその分社会保険料は減少します。

負担する社会保険料が減れば、その分手取りは増える事となりますが、社会保険料は将来の厚生年金の計算基礎となります。計算基礎が減れば、将来の厚生年金は少なくなる可能性があります。

なお、税金への影響ですが、従業員拠出の場合、拠出金は小規模企業共済掛金控除として年末調整時に所得金額から控除してもらう事が必要です。

企業拠出の場合、拠出金は企業が福利厚生費として処理しますので、年末調整時の手続きは必要ありません。

いずれの場合も所得から控除されますので、両者の違いは少ないと言えます。

給与金額にもよりますので一概には言えませんが、理論上はライフプラン拠出の場合、ライフプラン給付金を確定拠出に回す分、額面給与は減り、厚生年金の計算基礎を減らすことになるので、確定拠出年金は増えるが厚生年金は減る可能性が出てきます。

この場合、ライフプラン給付金を給与として貰い、個人型確定拠出年金を別途開設し、給与の中から個人型確定拠出年金を積み立てることで厚生年金が減少する可能性を削減することもできます(但し、個人型確定拠出年金の場合、年間の管理手数料等が別途発生しますし、企業型と併用する場合は個人型の積立限度額が小さくなる等、運用損益や運用条件を踏まえて考える必要があります)。

昨今、社会保険制度は日々時代に合った制度へと改善されています。ご自身の勤務条件等をご確認頂き、或いはFP等にご相談頂き、ライフプランに合った積み立てを選ばれることをお勧めします。

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