相続手続きのヒント‐法定相続情報一覧図の利用

 相続手続においては、相続人を特定するため、被相続人が生まれてから亡くなるまでの一連の戸籍謄本が必要となります。

 その戸籍は一般的には生まれてから結婚するまでの一団、結婚してから亡くなるまでの一団に分類されます。大抵は生まれたときに父親の戸籍にその生誕が記載され、その後父親が本籍を変更しなかったら結婚するまでの戸籍は1通、結婚してから本籍を一切動かさなかったら結婚後の戸籍も1通。一般的には最低2通の戸籍が必要となります。

 但し役所の都合で例えばコンピュータ化等、戸籍の様式が変更になることもあります。その場合は更に1通戸籍が増える事がありますし、戦後の戸籍法改正で家単位の戸籍から現在の家族単位の戸籍に変更となる時期に生まれていたなら、同じく1通戸籍が増える事があります。

 いずれにしても1通戸籍を取れば用が済む方はまずいらっしゃいません。その結果、相続手続きに当たって銀行に戸籍を要求された場合、その都度、戸籍の1セットを郵送手続きや持参する羽目に陥ります。

 この不便を解消するのが法定相続情報一覧図です。これは簡単に言うと被相続人が誰で、相続人に誰がいるかの相関関係を示した図です。一連の戸籍謄本を取得した後、所定の申請書等と共に一覧図を作成して所定の法務局に申請すると、法務局が一覧図の内容を確認して、間違いがなければ、正しく被相続人との相関関係が記載されている法定相続情報一覧図として法務局が認証印を押した写しを発行してくれるのです。法務局の手数料はかかりませんし、何通とっても交付手数料は無料です。

 法定相続情報一覧図はありがたいことに、銀行では戸籍謄本のセットと同じものとして扱ってくれるのです。

 つまり手続きをする銀行の数だけ発行してもらえば、戸籍謄本のセットが1つしかなくても代わりに相続情報一覧図を銀行に渡すことで、一遍に複数の銀行手続きに着手することも可能となるのです。

 発行手続きの詳細は法務局のHPでも確認できますし、弁護士、司法書士、税理士、行政書士に代理人として申請手続きを依頼することもできますので、一度確認してみてください。

 戸籍謄本の取得に苦労したという方は是非もうひと頑張りして法定相続情報一覧図を作成されることをお勧めします。