失業手当の算出方法・基本手当の日額とは

退職や転職を考える場合、失業中の生活をどの様に支えるかが問題となります。ここでは基本手当、いわゆる失業手当の算出方法を説明します。

基本手当は離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者であった期間が通算12か月以上ある場合(倒産等や会社都合の解雇等による場合は離職日前1年間に被保険者期間が6か月以上ある場合)に支給され、失業手当とも呼ばれています。

基本手当は次のように支給されます。

①賃金日額を算出⇒②基本手当の日額を決定⇒③所定給付日数を限度に支給

1.賃金日額

賃金日額とは、離職前の1生活費当りの賃金額に相当するもので、原則的に次の様に計算します。

「雇用保険の被保険者としての最後の6か月間の賃金総額÷180」

(賃金総額からは臨時に支払われる賃金や3か月超の期間ごとに支払われる賃金は除きます)

2.基本手当の日額

基本手当の日額は、実際に支給される1日あたりの額であり、「賃金日額×一定の率」で算定します。この一定の率は、60歳未満の場合は80/100~50/100の範囲、60歳以上の場合は80/100~45/100の範囲で定められます。

「一定の率」は賃金日額が低い程、高くなります。

3.所定給付日数

所定給付日数は基本手当の支給限度日数のことです。

一般の受給資格者は、被保険者期間が10年未満の場合90日、20年未満の場合120日、20年以上の場合150日が支給限度日数となります。

倒産や会社都合により退社された方は支給限度日数が年齢、被保険者期間別に次のようになります。

1年未満5年未満10年未満20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
35歳未満90日120日180日210日240日
45歳未満90日150日180日240日270日
60歳未満90日180日240日270日330日
65歳未満90日150日180日210日240日

以上の通り、失業手当は離職前6か月間の賃金と、被保険者期間を確認することで算出することが出来ます。

その他、基本手当(失業手当)はハローワークで求職の申込をし、失業の認定を受けてから7日間の待期期間を経てからでないと支給されないこと、自己都合による退職の場合等は待期期間後、最長3か月給付されない(給付制限)期間があることは認識しておく必要があります。

転職や退職は人生の大きな岐路です。ご検討される際は基本給付のことも加味しておくことをお勧めします。

定年後に退職する場合の手続き

定年後の働き方は大別すると「再就職」と「継続雇用」に分かれます。

ここでは「再就職」を行う際のポイントを確認して行きます。

退職後、再就職まで間が開く場合は雇用保険の失業等の給与(基本給付)の申請をすべきでしょう。会社から「離職票」を受け取り、住所地のハローワークに提出し、求職の申し込みを行い、受給資格が認められれば基本手当が受けられます。離職の日前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上有り、65歳未満で、働く意思を持って求職活動中だが再就職出来ない場合、給付金の対象となります。受給期間は離職日翌日から1年間ですが、離職日翌日以降1年以内に傷病等で30日以上継続して職業に就くことが出来ない場合はその期間分受給期間を延長申請することが出来ます。

60歳以上65歳未満で定年退職する場合はハローワークで求職申込をした日から通算7日の待機期間後、基本手当の支給がされます。気を付ける点は60歳定年退職後、継続雇用中に退職する場合です。自己都合退職扱いにされた場合、待期期間に2か月の給付制限期間が加わりますので要注意です。

なお、60歳で定年退職後、再雇用で働く際に、賃金が大幅に低下する場合の給付金として高年齢再就職給付金があります。基本手当を受けている60歳以上の方で、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上で、基本手当支給残日数が100日以上ある場合に給付されます。

支給期間は、残日数が200日以上ある場合は2年、200日未満である場合は1年(共に、65歳到達月まで)です。

支給要件は、賃金が、基本手当日額の算定基礎となった賃金日額×30×75%未満である場合です。

支給額は、賃金が、基本手当日額の算定基礎となった賃金日額×30×61%未満である場合は当月支払賃金×15%を最高に、以降75%に近付くにつれ逓減して行きます。

再就職手当が受け取れる場合は、再就職手当か高年齢再就職給付金の何れかを選択する事となります。

その他、退職後に確認しておいた方が良い事項を列挙しておきます。

雇用保険・失業等給付試算のため、給与
 明細を確認
・雇用保険被保険者証の有無を
 確認
・退職時に会社から離職票を受
 領
・失業等給付を受ける場合、ハ
 ローワークで求職申込
公的年金・ねんきん定期便等で加入記録
 等を確認
 (配偶者の分も同様)
・会社が年金手帳を保管してい
 る場合は受領
健康保険・退職後、どの医療保険制度に
 加入するか検討する
(国民健康保険、任意継続被保
 険者、家族の被扶養者)
・健康保険被保険者証の写しを
 取っておく
・退職後、本人及び配偶者分の
 健康被保険者証を返却
・国民健康保険加入の場合は会
 社から健康保険資格喪失証明
 書を受領し、資格喪失後14
 日以内に市町村窓口で手続き
・任意継続被保険者の場合は退
 職後20日以内に手続き
税金・退職後の住民税支払資金を確
 保
・定年退職後、年末以前に退職
 し、再就職しない場合は確定
 申告が必要
住宅ローン・退職時に住宅ローンが残る場
 合は残高を確認
・退職後の返済計画に無理がな
 いか事前に試算
生命保険・会社の団体保険に加入してい
 る場合、継続が可能か確認
 解約する場合、退職後の保障
 について検討
・退職後の必要保障額を試算

定年後、「再就職」を選択する場合で再就職まで間が開く場合、精神的なプレッシャーは大きなものとなります。日本の場合、社会保険制度が充実していますが、分り易いものとは言えません。万一ハローワークでもカバーし切れない事が生じた場合は、FPに相談するのも方法の1つと言えます。

労働問題・あっせんと調停の違い

退職金の支払い等が就業規則通りに行われないで困っているが、労働裁判までは起こしたくない場合、労働局や社会保険労務士会等のHPを見ると、労使の話し合いによる解決方法として「あっせん」や「調停」という制度が紹介されています。

両者にはどのような違いがあるのかを簡単に説明します。

「あっせん」とは従業員又は事業主が労働局や社会保険労務士会に申し込みを行い、指定日に従業員と事業主が集まって、労働局や社会保険労務士が立会人として間に立って一方の申出内容を聞き取り、それを相手方に伝え、それに対する反論を聞き取り、再び相手方に伝える、という行為を繰り返し、意見の一致を図る手続きです。

1日で終了し、2回程度の意見交換を行い、両者の意見が一致した場合は勿論のこと、一致しない場合も、一致しないという事をもって終了となります。

「あっせん」の際、立会人は話し合いに意見を挟みません。あくまでも当事者間の了承を旨とし、アドバイスを行ったとしても結論を導くことまでは行いません。

無料で行えますが、対象が労働法の違反等、明らかに具体的な法律違反である場合は、制度の目的が「意見の一致を図る」ことである故、解決方法としては馴染まない可能性があります。

「調停」とは従業員または事業主が家庭裁判所に申請を行う事により開始する制度です。

手数料が必要で、賠償金として求める額により金額が変わってきます。又、手数料は申請者負担となります。

調停人は弁護士、社会保険労務士等が行い、指定日に従業員と事業主が家庭裁判所に集まり、調停人が間に立って両者の申出内容を聞き、相手方に伝え、それに対する反論を聞き取り、再び相手方に伝えます。

「あっせん」との大きな相違点は①両者の意見が一致するまで、又は一致しないことが明らかとなるまで、何回でも行われる点です。1日で終わるとは限りません。

また、②対象となる問題が労働法の違反等、具体的な法律違反である場合には、調停人からの意見が入る事も大きな相違点です。「調停」が不成立になった場合、労働裁判に移行することも多い為、非公開とは言うものの、調停人の意見も法律に則ったものとなる傾向が強い様です。

概して労働問題は事業主側の立場が強い為、従業員側に十分な情報がない事から、従業員側が泣き寝入りせざるを得なくなりがちです。

関係する法律が多岐に渡り問題を整理するのに手間がかかる上、相談できる所も限られ、何処から手を付けていいのか分からなくなることも原因として考えられます。

解決に当たっては、先ずはFPや社会保険労務士に相談し、問題の整理から始める事をお勧めします。

60歳で継続雇用を迎える方のチェック事項

現在、定年年齢を65歳未満と定められている会社にお勤めの方は、事業主によって「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により①定年制の廃止、②65歳までの定年の引き上げ、③65歳までの継続雇用制度の導入、のいずれかの措置が講ぜられている状況にあります。

しかし、多数の従業員を抱える大企業でない限り、60歳を迎えて継続雇用制度を利用する従業員が毎年発生する訳ではありません。発生時には自ずと手続きが手探りで行われる事となりがちです。

ここでは60歳で継続雇用を迎える方のうち、再雇用の場合に絞って最低限ご自分で確認しておくべきことを挙げておきます。

(なお、再雇用とは定年退職で一旦退職扱いとなった後、再度同じ会社に雇用される事です。それに対して勤務延長はそれまでと同じ条件で働き続ける事です。)

継続再雇用が行われた場合、最低限確認しておくべきポイントは

①健康保険手続き、②厚生年金手続き、③雇用保険の高齢者雇用継続給付手続き、④退職所得

の4つです。

1.健康保険手続き

継続再雇用は即ち定年退職後、速やかに再雇用を迎えることです。従って、健康保険はいったん資格喪失し、改めて加入することとなります。具体的には退職に当たって会社から行政機関に一旦「健康保険被保険者資格喪失届」が提出され、同時に健康保険の加入手続きが行われます。

ここで忘れられがちなのが「健康保険被扶養者(異動)届兼健康保険被扶養者確認通知書」の提出です。これは今まで配偶者を健康保険の被扶養者としていた方が再雇用後も引き続き配偶者を被扶養者とするための手続き書類です。事業主に再雇用時の加入手続きと同時に提出して貰わないと一時的に配偶者が健康保険の適用外となってしまいます。

「健康保険被扶養者(異動)届兼健康保険被扶養者確認通知書」には配偶者の所得証明書が必要となりますので事業主あて事前に確認しておいた方が良いでしょう。

なお、問題なく手続きが終わればご自身の分と配偶者の分の新しい健康保険証が再雇用後、事業主経由で受け渡されます。

2.厚生年金手続き

厚生年金保険も健康保険と同様、退職に当たって会社から行政機関に一旦「厚生年金被保険者資格喪失届」が提出され同時に厚生年金の加入手続きが行われます。手続きの確認は再雇用後の最初の給与明細を見て、厚生年金保険料が引き落とされているかを確認する事が確実です(健康保険も健康保険料引落で確認出来ます)。

3.雇用保険の高齢者雇用継続給付手続き

再雇用の場合、健康保険や厚生年金のような手続きは要りません。雇用保険はそのまま継続されます。しかし高齢者雇用継続給付金を受ける場合は、事業主から「雇用保険被保険者60歳到達時賃金月額証明書」と「高年齢雇用継続給付受給資格確認票」をハローワークに提出して貰う必要があります。ハローワーク受付後、控が交付されます。

事業主からハローワークからの控をコピーして貰っておいた方が良いでしょう。

なお、高齢者雇用継続給付金は、2ヶ所から賃金が支払われている場合(出向以外の場合)も適用されます。この場合、雇用保険の被保険者資格がある雇用関係に基づく賃金で給付額が判断されます。

4.退職所得

再雇用の場合、一旦退職金をもらう事となりますが、退職所得の納税手続きは事業主が行う事となります。つまり退職金支払時に源泉徴収が行われますので、事業主から「退職所得の源泉徴収票(受給者交付用)」を貰っておく必要があります。これは年末調整後、確定申告を行う場合に必要となりますので必ず保管しておいて下さい。

皆様様々な会社に勤務し、様々な制度に加入されていると思いますが、以上4点はどの会社でも行われている事項です。

遺漏なくお手続きされ、再スタートをされることを願っております。

定年後の住宅ローンをどうするか

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」により、定年年齢を65歳未満と定めている事業主は、①定年制の廃止、②65歳までの定年の引き上げ、③65歳までの継続雇用制度の導入、のいずれかの措置を講ずることが必要となりました。現在は多くの企業で継続雇用制度が導入されています。

しかし、継続雇用制度を利用しても、60歳以降の賃金は大幅に下がり、これからの生活をどうしようと考えられるサラリーマンの方が大部分ではないでしょうか。特に60歳時点で住宅ローンを抱えておられる方にとっては頭の痛い事と思います。

一般論では退職金で住宅ローンの残債を一括返済することが推奨されていますが、今後の生活を考えるとそう簡単に決断もできないことと思います。

その様な場合にリバースモーゲージによる借り換えを利用する、という考え方もあります。リバースモーゲージとは自宅を担保に借入を行い、生前は借入元本を返済することなく自宅に住み続け、死後に自宅を売却する等して借入元本を返済する制度です。

例えば住宅金融支援機構が提供している「リ・バース60」の場合、既存の住宅ローンの残高および借換費用等も対象とされ、債務者および連帯債務者が満60歳以上の場合なら、住宅および土地の担保評価額×50%または60%、かつ8000万円以下で、既存の住宅ローン残高以内を融資限度としています。

メリットとしては、①元本返済は死後に行うため、月々の返済が利息部分だけに抑えられる、②自宅に住み続けられ、借り入れた本人の死後も配偶者が連帯債務者である場合、配偶者も引き続き居住できる、③返済方法は死後自宅を売却等するか、生前に現金による繰上返済もできる、等が挙げられます。

注意点としては、①融資限度額が定期的に見直され不動産価額が下落し、借入残高が限度額を上回った場合、差額を返済するか、金利を引き上げられる可能性がある、②借入限度額が担保評価額次第であること、特に債務者および連帯債務者が満50歳以上満60歳未満である場合は担保評価額×30%が上限とされてしまう、③契約に当たって推定相続人全員の合意が必要、等が挙げられます。

但し、不動産価額の下落で死後の売却後、残債が残った場合でも「ノンリコース型」にしておけば相続人に残債の返済義務は残りませんし、年齢による担保評価額の問題も、本人が60歳以上で単独債務者として契約すればクリアできる可能性もあります(その場合契約者の死後、配偶者が契約を引き継ぐ必要があり、再度審査が必要となりますので、配偶者が60歳以上となったら連帯債務者として変更契約が可能となるのか等、事前に金融機関とよく相談しておく必要があります)。

なお、既存の住宅ローンについては直近12か月分の返済が遅滞なく行われていることが条件となることは言うまでもありません。

収入確認書類としては、

給与所得者、年金受給者:源泉徴収票等

個人事業主等:確定申告書等

同族会社役員:法人税の確定申告書等

年金未受給者:ねんきん定期便等

が求められます。

借入限度額の目安となる担保評価額を検討するに当たっては、毎年支払われてる固定資産税納税通知書に記載している固定資産税評価額が参考となります。固定資産税評価額は公示価格の70%で評価されており、公示価格は、一般の土地の取引価格の指標となっているからです。つまり固定資産税評価額÷70%がその土地の公示価格と判断できるのです。

将来の見通しに不安があるという場合、一旦、リバースモーゲージによる借り換えを導入して家計の資金繰りを安定させた後、再雇用や再就職後の環境を判断し、環境に合わせて少しづつ繰上返済を行ってゆくのも1つの方法ではないか、と思います。

定年を迎えられると、周りの環境は一変する一方、住宅ローンの返済は今まで通りにやって来て、どうしていいか分からなくなることもあるかも知れません。でもだからと言って立ち止まってしまわれる事はお勧めできません。まずは社会保険制度、金融制度、金融商品等、あらゆる方法を検討してみてください。ここではリバースモーゲージを紹介しましたが、10人の方がいらっしゃれば10通りの答えがあります。冷静にご自分の状況を整理して、出来る事を一つづつ積み重ねて行かれることをお勧めします。

定年前の確認事項・雇用保険加入期間

定年後、ハローワークで確認したら、加入していた期間が自分の勤めていた期間と違う!サラリーマンにとって恐ろしい事ですが、それは起こりうることです。

第1講 雇用保険の概略

 雇用保険とは失業他労働者の雇用継続が困難になったとき等、必要な給付が受けられる保険です。サラリーマンなら給与明細を見て頂きますと、保険料は毎月の給与から控除され、労使折半で納付されているはずです。

 雇用保険法では「労働者が雇用される事業」を適用事業とし、「個人経営かつ常時使用する労働者が5人未満かつ農林水産業」を暫定任意適用事業としています。つまり農林水産業以外に従事するサラリーマンなら、適用事業に従事していることになります。

 被保険者は昭和55年当時でも「年収52万円以上で反復して就労し、通常の労働者の3/4以上かつ週22時間以上就労している者」を対象としていますので、通常なら正社員=被保険者となるはずです。

 被保険者である期間は算定基礎期間と言い、雇用保険における様々な給付の要件の1つとされています。

 例えば基本手当(いわゆる失業時の給付)の受給期間です。ハローワークでは算定基礎期間に従って所定給付日数を決め、この所定給付日数によって受給期間を与えています。

 所定給付日数が360日である受給資格者なら1年+60日、330日である受給資格者なら1年+30日の基本手当の受給期間を得られますが、それ以外の所定給付日数である場合は基本手当の受給期間は1年となります。

 転職による自己都合退職や定年を迎えられて退職される方は、被保険者期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日の所定給付日数が与えられますので、基本手当の受給期間は一律1年となります。

 問題は会社都合で離職せざるをなかった方です。会社都合で離職した方が45歳以上60歳未満の場合、算定基礎期間が20年以上であれば330日の所定給付日数が与えられますが、10年以上20年未満であった場合、基本手当の所定給付日数は270日となってしまうのです。

 仮に、被保険者期間が本来20年以上だったのに15年となっていた場合、所定給付期間は本来330日であるのに270日となり、基本手当の受給期間は1年+30日が1年となってしまいます。

 万一基本手当を受給することとなったとき、1年+30日と1年の違いは決して小さなものではないでしょう。

第2講 不一致発生時の対策

 では勤めていた期間と算定基礎期間の不一致はどのように発生するのでしょうか?

 事業主は雇用する労働者が被保険者となった月の翌月10日までに公共職業安定所へ労働者の雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければなりません。事業主がこの被保険者資格取得届を行わなかった場合、労働者は雇用保険に未加入とされてしまいます。雇用保険料の徴収時効期間は2年ですから、原則2年を超えて遡って雇用保険料を納めることはできません。

 しかし、そのような場合でも「雇用保険の遡及適用の特例」という制度があります。

①事業主が被保険者資格取得の届出を行わなかったことで雇用保険に未加入とされていた者で

②被保険者資格取得の確認があった日の2年前の日より前の時期に、賃金から雇用保険料を控除されていたことが確認された場合、

この場合に2年を超えて遡って雇用保険を適用する制度が「雇用保険の遡及適用の特例」です。

 この制度が適用されると、厚生労働大臣の事業主に対する勧奨が行われ、事業主は納付していない保険料の納付を申し出ることが可能となります。

 但し、この特例を活用するには、本来支払われるべきであった保険料が事業主によって支払われていなかった事が明らかであることが必要となります。つまりお手元にある過去の給与明細を確認して頂き、賃金から雇用保険料を控除されていた期間がハローワークの記録と一致していない事が明らかであれば、本来の支払がなかった事の証明の1つとなります。

 万が一、雇用保険の加入期間の相違が発見された場合は、先ずは過去の給与明細を確認し、ハローワークや都道府県労働局などに相談されることをお勧めします。