失業手当の算出方法・基本手当の日額とは

退職や転職を考える場合、失業中の生活をどの様に支えるかが問題となります。ここでは基本手当、いわゆる失業手当の算出方法を説明します。

基本手当は離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者であった期間が通算12か月以上ある場合(倒産等や会社都合の解雇等による場合は離職日前1年間に被保険者期間が6か月以上ある場合)に支給され、失業手当とも呼ばれています。

基本手当は次のように支給されます。

①賃金日額を算出⇒②基本手当の日額を決定⇒③所定給付日数を限度に支給

1.賃金日額

賃金日額とは、離職前の1生活費当りの賃金額に相当するもので、原則的に次の様に計算します。

「雇用保険の被保険者としての最後の6か月間の賃金総額÷180」

(賃金総額からは臨時に支払われる賃金や3か月超の期間ごとに支払われる賃金は除きます)

2.基本手当の日額

基本手当の日額は、実際に支給される1日あたりの額であり、「賃金日額×一定の率」で算定します。この一定の率は、60歳未満の場合は80/100~50/100の範囲、60歳以上の場合は80/100~45/100の範囲で定められます。

「一定の率」は賃金日額が低い程、高くなります。

3.所定給付日数

所定給付日数は基本手当の支給限度日数のことです。

一般の受給資格者は、被保険者期間が10年未満の場合90日、20年未満の場合120日、20年以上の場合150日が支給限度日数となります。

倒産や会社都合により退社された方は支給限度日数が年齢、被保険者期間別に次のようになります。

1年未満5年未満10年未満20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
35歳未満90日120日180日210日240日
45歳未満90日150日180日240日270日
60歳未満90日180日240日270日330日
65歳未満90日150日180日210日240日

以上の通り、失業手当は離職前6か月間の賃金と、被保険者期間を確認することで算出することが出来ます。

その他、基本手当(失業手当)はハローワークで求職の申込をし、失業の認定を受けてから7日間の待期期間を経てからでないと支給されないこと、自己都合による退職の場合等は待期期間後、最長3か月給付されない(給付制限)期間があることは認識しておく必要があります。

転職や退職は人生の大きな岐路です。ご検討される際は基本給付のことも加味しておくことをお勧めします。

定年後に退職する場合の手続き

定年後の働き方は大別すると「再就職」と「継続雇用」に分かれます。

ここでは「再就職」を行う際のポイントを確認して行きます。

退職後、再就職まで間が開く場合は雇用保険の失業等の給与(基本給付)の申請をすべきでしょう。会社から「離職票」を受け取り、住所地のハローワークに提出し、求職の申し込みを行い、受給資格が認められれば基本手当が受けられます。離職の日前2年間に、被保険者期間が通算12か月以上有り、65歳未満で、働く意思を持って求職活動中だが再就職出来ない場合、給付金の対象となります。受給期間は離職日翌日から1年間ですが、離職日翌日以降1年以内に傷病等で30日以上継続して職業に就くことが出来ない場合はその期間分受給期間を延長申請することが出来ます。

60歳以上65歳未満で定年退職する場合はハローワークで求職申込をした日から通算7日の待機期間後、基本手当の支給がされます。気を付ける点は60歳定年退職後、継続雇用中に退職する場合です。自己都合退職扱いにされた場合、待期期間に2か月の給付制限期間が加わりますので要注意です。

なお、60歳で定年退職後、再雇用で働く際に、賃金が大幅に低下する場合の給付金として高年齢再就職給付金があります。基本手当を受けている60歳以上の方で、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上で、基本手当支給残日数が100日以上ある場合に給付されます。

支給期間は、残日数が200日以上ある場合は2年、200日未満である場合は1年(共に、65歳到達月まで)です。

支給要件は、賃金が、基本手当日額の算定基礎となった賃金日額×30×75%未満である場合です。

支給額は、賃金が、基本手当日額の算定基礎となった賃金日額×30×61%未満である場合は当月支払賃金×15%を最高に、以降75%に近付くにつれ逓減して行きます。

再就職手当が受け取れる場合は、再就職手当か高年齢再就職給付金の何れかを選択する事となります。

その他、退職後に確認しておいた方が良い事項を列挙しておきます。

雇用保険・失業等給付試算のため、給与
 明細を確認
・雇用保険被保険者証の有無を
 確認
・退職時に会社から離職票を受
 領
・失業等給付を受ける場合、ハ
 ローワークで求職申込
公的年金・ねんきん定期便等で加入記録
 等を確認
 (配偶者の分も同様)
・会社が年金手帳を保管してい
 る場合は受領
健康保険・退職後、どの医療保険制度に
 加入するか検討する
(国民健康保険、任意継続被保
 険者、家族の被扶養者)
・健康保険被保険者証の写しを
 取っておく
・退職後、本人及び配偶者分の
 健康被保険者証を返却
・国民健康保険加入の場合は会
 社から健康保険資格喪失証明
 書を受領し、資格喪失後14
 日以内に市町村窓口で手続き
・任意継続被保険者の場合は退
 職後20日以内に手続き
税金・退職後の住民税支払資金を確
 保
・定年退職後、年末以前に退職
 し、再就職しない場合は確定
 申告が必要
住宅ローン・退職時に住宅ローンが残る場
 合は残高を確認
・退職後の返済計画に無理がな
 いか事前に試算
生命保険・会社の団体保険に加入してい
 る場合、継続が可能か確認
 解約する場合、退職後の保障
 について検討
・退職後の必要保障額を試算

定年後、「再就職」を選択する場合で再就職まで間が開く場合、精神的なプレッシャーは大きなものとなります。日本の場合、社会保険制度が充実していますが、分り易いものとは言えません。万一ハローワークでもカバーし切れない事が生じた場合は、FPに相談するのも方法の1つと言えます。

生命保険の優先順位

人生で一番大きな買い物はマイホームと言われていますが、生命保険もまた人生で2番目に大きな買い物と言われています。月1万円としても社会人となって1年目から始めれば略40年で480万円、途中の更新や保険増額があれば月平均3万円として1,480万円を支払うこととなります。目的に合った保険を選んでおかないと、場合によっては掛捨てとなり無駄な支出となってしまいます。そのため生命保険加入を考えるときは保険の目的を考える必要があるのです。

保険の目的は4つに分類できます。①世帯主に万一があったときの備え、②病気やけがによる入院や手術への備え、③教育資金の準備、④老後資金の準備、です。どの保険商品がそれに該当するか分類すると以下の通りになります。

①世帯主に万一があったときの備え:終身保険、定期保険、収入保障保険

②病気やけがによる入院や手術への備え:医療保険、がん保険、介護保険、所得補償保険

③教育資金の準備:学資保険

④老後資金の準備:個人年金保険

生命保険を選ぶ場合は先ず保険商品毎の目的を確認し、その目的が自分に合っているかを考える必要があります。

一般に保険加入の優先順位は①世帯主の死亡保障、②夫婦の医療保障、③妻の死亡保障、④こども保険・老後の保険、と言われています。

しかしこれは従来型の「成人前の子供がいる夫婦家庭」をモデルとした考え方で、様々なライフプランを持つ方々がいらっしゃる現在の日本に必ずしも合うものとは言えません。

個人的な見解でありますが、以下の考え方をお勧めします。

1.ベースとなる保険を確保する

:①医療保険(+がん保険)、②所得補償保険

独身の方、共働きの方、別居生活の発生、結婚、離婚など、人は様々な人生を送っています。どんな人生を歩む方も、先ずは個人として自分の生活を維持するための医療保険を確保することをお勧めします。独身者は言うに及ばず、家庭を持っても配偶者が身の回りの世話が出来るとは限りません。共働きの場合、幼い子供がいる場合、他に介護者がいる場合もあります。

社会保険でカバーできる部分も大きいので一般的には1日当り1万円程度の入院保障がある医療保険を確保すれば十分かと思います。もし30歳前に加入されるなら保険料も相当安く、払込完了60歳で終身医療保障となる商品もあります。入院する可能性が一生ついて回るリスクであることを考えれば費用の安いうちに終身医療保険に加入しておくことは必須です。ご家族にがんを患った方がいらっしゃれば、保険会社によっては1口からの加入も出来ますので、がん保険も追加しておくことをお勧めします。

又、余裕があれば所得補償保険で長期療養にも対応できる様に備えておくことをお勧めします。

2.ライフステージ別に保険をカスタマイズする

:③終身保険、④定期保険、⑤個人年金保険、⑥介護保険

ベースとなる医療保険(+がん保険)、所得補償保険を確保したら、次はライフステージ別に保険を準備します。

生きている人には医療保険、所得補償保険で十分ですが、残された方のことを考える場合は終身保険や定期保険が必要となります。つまり結婚したとき、子供がまだ独立していないときです。

一番大きな保障が必要となる期間は結婚して子供が出来、独立するまでの期間でしょう。一般的には25年間くらい、30歳で結婚して子供が出来たとすれば55歳までの期間です。

終身保険は一生涯の死亡保障を確保できる保険です。保険料は高めですが解約時には一部返戻されます。

定期保険は5年、10年等一定期間内の死亡保障を確保出来ます。保険料は安いですが掛捨てです。最近は保障年齢を80歳までとする保険が多い様です。

一生涯の保障を確保できると聞くと、多くの方が終身保険で大きな保障額を選びがちです。

一昔前までは終身保険で将来の貯金をしている、と考える方もいらっしゃいましたが、終身保険料は途中で使えるお金ではないこと、万一途中解約した場合の返戻金は相当減額されること等を考えると、大きな金額を終身保険につぎ込むことは資産形成上リスクにもなりかねません。いつでも自由に資金化出来る預金や投資信託として運用した方がいざという時の自由度は高まります。

ライフプランを確認し、子供も独立した後、どの程度の資産形成が出来るかを考えて、80歳以降に死亡したときに残す必要がある金額を終身保険、現在から80歳になるまでの期間は5年又は10年の定期保険で対応し、浮いたお金をNISA等で運用する方が遥かに費用が安く済みます。

子供が生まれたから学資保険、と考える方もいらっしゃいますが、運用効率やいざという時の自由度から考えると、むしろ定期保険とNISAを組み合わせることを考えた方が良いのではないでしょうか。

独身の方の中には介護保険を考える方もいらっしゃいますが、一般的には要介護状態になってからでないと利用できない事も考えておくべきです。要介護というと所謂認知症がある程度発症した状況です。介護保険も保険である以上、申出がないと保険金支払いが開始されない事を考えると、その時誰が自分の代りに申出を行ってくれるのか、考えておかないと死に金となります。子供のいらっしゃらないご夫婦も同様です。

老後のことを考える場合は介護保険より個人年金保険を視野に入れておくことをお勧めします。やはり若い時から加入された方が保険料が安いですし、収入が減って来た頃に年金受給開始までの補填として利用出来れば、将来の不安要素を減少させる効果があります。

以上、保険についての私見を述べさせていただきました。保険についてインターネットやCMで多くの広告が流れていますが、結局は自分の人生は自分一人のものです。保険会社のテンプレートに乗せられることなく、自分の人生の中での各々の保険の役割を考えて契約させることをお勧めします。

為替システム事故の回避

先般、全銀システムのトラブルにより全国的に振込手続きに係る障害が発生したことは周知の通りです。当該システムトラブルでご不便を感じた方も多かった事と思います。

今回で分かったことは、全銀システムは為替データを、各金融機関グループ別に割り振ったコンピュータで事前処理を行った後、ホストコンピュータで最終処理を行っている、という事です。そのうちの1つのコンピュータに不具合が生じたことが今回のトラブルの発端でした。

とするなら、少なくとも同じグループに割り振られていない金融機関の口座を保有していないと、万一の場合は資金移動が一切できなくなる可能性がある、という事です。

現金を払い出し、他行で振り込む、という方法をとられた方もいらっしゃった様ですが、ATMで1日当り払出できる金額は上限があることや、店頭にて振込手続きを行う場合は昨今本人確認が必要となっている事から考えても、相応の時間がかかる事は否めません。

既に報道でご存じの方も多いと思いますが、今回同じコンピュータに振り分けられていた金融機関は以下の通りです。

もし取引金融機関を絞り込んでいる方がいらっしゃいましたら、このグループ以外の金融機関とも取引を行っておくことをお勧めします。

【今回影響を受けた金融機関】

①三菱UFJ銀行、②武蔵野銀行、③三菱UFJ信託銀行、④日本カストディ銀行、

⑤SBI新生銀行、⑥シティバンク エヌ エイ、⑦ジェー ピー モルガン・チェース、

⑧商工中金、⑨りそな銀行、⑩埼玉りそな銀行、⑪関西みらい銀行、⑫山口銀行、

⑬北九州銀行、⑭もみじ銀行

NISA(投資信託)をご検討の方へ・安心できる投資信託を考える

第1講 投資信託の必要性

現在、NISAや個人型確定拠出年金の改正等を通し、運用に対する考え方の転換が求められています。

従来の元本確定型の定期預金では1%未満の金利でしか運用できない一方、最近では石油を始め商品の国際価格上昇が著しく、長期的に見ても定期預金のみでの運用では金利が物価上昇に追い付かず、資産価値は目減りしてしまう可能性さえあります。

また、法律の改正により65歳までの雇用継続が維持されているとはいえ現在の日本では大部分の方が60歳以降は給与の減額にさらされており、65歳以降年金支給開始まで如何に手元資金を増やすか、又は減らさずに暮らしてゆくかが課題である方も多いと思います。

こうした将来への対策としては、運用商品の中に物価変動と共に価格の動く商品(株式・債券・金などのモノ・海外通貨など)を導入することが必要となります。少なくとも物価と近い動きで価格が変動して行くなら、資産価値の目減りはカバー出来うるからです。そのため多くの家庭にとって投資信託は避けては通れない資産運用の方法となっているのです。

「預金以外の方法で運用するのはリスクも高いし難しいのでは?」と考える方もいらっしゃいますが、一獲千金を狙うのではなく、物価のトレンドに沿って資産価値を上げたり、配当を受け取ったりする事はそれほど難しい事ではありません。リスク管理、すなわちリスクの内容や大きささえ認識しておけば良いのです。

リスク管理と言うと、相当面倒なものと思われるようですが、銀行預金でも既に皆さんはリスク管理を行っているのです。

例えばどこかの銀行が金利の良い預金キャンペーンを始めたら必ず利用する方や、定期預金残高を1000万円以下にしている方も多いと思います。また、新聞に銀行についての記事が載っていれば必ず目を通す方も多いと思いますし、記事の内容によっては預け替えを行う方もいらっしゃいます。これこそリスク管理なのです。皆さんはこうしたリスク管理が出来るから比較的安心して銀行預金をしているのではないでしょうか。

預け先が安心できる先であり、良い情報も悪い情報も日々目にすることが出来、取引を自分でコントロールできること、この3点のリスク管理が出来るから安心して預金を預けている事と思います。

すなわち同様のリスク管理が出来れば、投資信託もそれほど恐れるものではないのです。

第2講 こうすれば怖くない投資信託

しかし、それでも投資信託は怖いと感じる方が多いです。

預け先は大手銀行で、月々の動きは詳細なレポートで郵送される、預入も解約も何時でも出来る、それでも投資信託をしり込みする方は多いのです。

それは同じ3点でも銀行預金と投資信託では抑え方が違うからです。

銀行預金を例にとり、見てゆきましょう。

先ず、預け先ですが、銀行が貸付や、国債の売買等で皆様の預金を運用していることはご存じかと思いますし、基本的に回収懸念がある先には貸付を行わない事もご存じかと思います。

つまり預け先がどこで運用しているか、又、運用姿勢も分かっているから安心できるのです。

次に情報管理ですが、仮に某銀行で不正融資があったとします。発覚すればその日のニュースで報道されますし、新聞も継続的に掲載を続けるでしょう。そのような報道があると預金者は預け替えも出来ます。

つまり日常的に預け先の情報がある程度把握でき、判断が出来るから安心できるのです。

最後に取引のコントロールですが、定期預金は基本的に何時でも解約できます。解約した所で元本を割り込むことはありません。預けた分が必ず返ってくるから安心なのです。

何処でどのように運用されているか分からない、分からないからニュースでもチェック出来ない、解約しようにも手数料等が取られて元本割れの可能性がある、これでは安心して預けることは出来ません。

ならば運用先が安心できる先と分かっていて、日々その先の情報が分り、かつ元本割れが発生しにくい組み合わせで投資信託を運用すれば良いのです。

第3講 基本となる投資信託のリスクと管理

一言で投資信託と言っても世の中には星の数ほど商品があり、1つの金融機関でも取扱商品の全てを説明できる方はいないと思います。

しかしNISAや個人型確定拠出年金で扱われている投資信託は、突き詰めれば4種類に分類できます。

①国内株式で構成される投資信託、

②外国株式で構成される投資信託、

③国内債券で構成される投資信託、

④外国債券で構成される投資信託、 の4つです。

この基本の4種類の投資信託が持つリスクを理解すれば、NISAや個人型確定拠出年金で扱う投資信託の基本的なリスク管理が可能となります。

ここで大切なポイントです。リスクとは世間では「危険度」と解釈されていますが、投資の世界では「変動幅」と考えられています。

「変動幅」が大きい程、将来大幅に価格が変化(上昇または下落)する可能性は大きく、「変動幅」が小さい程、将来価格が変化(上昇または下落)する可能性は小さいと推定されます。もともと投資信託は複数の商品を1つにまとめて運用すること、例えば株式なら一定の基準を満たす複数の株式を1つに取りまとめて、個別銘柄の値下りを他の銘柄の値上りでカバーすることを想定しています。つまり投資信託は複数の商品をまとめてリスク(変動幅)管理することで、個別銘柄のリスク(変動幅)管理の省略を可能としているのです。

そのため基本的に管理しておくべきリスクは、

①為替リスク、②公社債の信用リスク、③株式の信用リスク、の3つに絞られます。以下では各リスクの内容と留意点を説明します。

①為替リスク

主に外国株式で構成される投資信託や外国債券で構成される投資信託に関わるリスクです。外国株式や外国債券は、自身の業績や条件に関係なくても為替相場が動くとそれによって価格が変動します。円安(外貨高)になれば価格は上がり、円高(外貨安)になれば下ります。

つまり外国株式や外国債券で構成される投資信託を保有するときは、日銀・米国・ユーロ等の金融政策見通しや、国際情勢の見通しに着目し、円が中長期的にどちらの方向に振れてゆくのか注意しておく必要があるのです。

無論、広い意味では全ての商品がお互いに影響を及ぼし合い、国内株式や国内債券も無関係ではいられません。しかし、外国株式や外国債券で構成される投資信託の場合はその影響を端的にかつ直接に受ける点で特に注意が必要です。

②公社債の信用リスク

公社債の信用リスクはその国に投資したとき、元本が返ってくる可能性、利息が付与される可能性と考えてください。これは発行している国の信用力と、取得できる情報の量と質で図ることが出来ます。

まず国の信用力は、その国が発行している通貨が国際決済通貨として運用されているか否かが1つの目安となります。原則的にドル、ユーロ、円、ポンド等、国際決済通貨として通用している通貨の発行国ほど信用力は高いと言えます。

そして、信頼のおける情報が定期的に広く取得できるか、がもう1つの目安です。

一般的に先進国は貿易収支、国民総生産を始め個人消費支出、自動車販売台数、住宅着工指数等、経済について定期的にデータが公開され、ニュースも報道され易く政治・経済・財政の情報が公開されています。信頼できる情報が公開され、その情報が把握しやすい国ほど信用力は高いと言えます。

新興国の場合、国債の利息は高いのですが、国際決済通貨を発行していない、政治・経済・財政の情報を目にする機会が得にくい等の傾向があります。

目論見書を見ると、大抵は運用先の国名は掲載していても個別投資先までは掲載されていません。そのため国としての信用力や取得できる情報量等から考える方がリスクを把握しやすのです。

③株式の信用リスク

株式の信用リスクは株式投資したとき、今後元本が変動する振幅と考えて下さい。株式の場合、価額が下落することがあるのは当然です。問題は下落後に価額が戻るか否かです。但し投資信託の場合、理論上は個別銘柄の変動リスクを複数銘柄への投資でカバーしていますので、公社債と同様、商品群として信用リスクを把握しておけば、ある程度の範囲で変動幅を制御できる可能性が高くなります。

商品群としての銘柄は、概ね先進国銘柄・主要国銘柄・新興国銘柄の3つに分けられ、信用力は一般的に、「先進国>主要国>新興国」の順に、変動幅は「新興国>主要国>先進国」の順に高くなります。

投資先として具体的な銘柄が分れば良いのですが、商品説明書を見ると大抵は「主要国の株式に投資するマザーファンドへの投資」等の表示がされてます。この内容のよく分からない説明が不安を感じる理由の1つだと思います。

この場合、いくつかのキーワードを押えれば、ある程度リスクを判断できます。主なキーワードは「先進国」「主要国」「新興国」「インデックスファンド」「ベンチマーク」「パッシブ運用」「アクティブ運用」等です。「先進国」「主要国」「新興国」は先に記した通りですのでその他について説明します。

●インデックスファンド:

一定の指標(指数)に連動した運用を目指す投資信託。日経平均を 指標としするなら、日経平均に連動した運用をするため日経平均を構成する代表的な銘柄を組入れた運用が行われます。

●ベンチマーク

投資信託を運用するときに目標となる指標です。上記の例でしたら日経平均がベンチマークとなります。

●パッシブ運用

目標とする指標(ベンチマーク)と連動するように動くことを目指す運用スタイルです。インデックスファンドがその代表です。

●アクティブ運用

ファンドマネージャー等が独自の調査や分析に基づいて運用し、目標とする指標(ベンチマーク)を上回る成果を上げることを目指すスタイルです。

要は、信用リスクについては何をベンチマーク(指標)としているかを確認することが重要です。インデックスファンドなら指標とその動きをチェックしておけば投資信託の動向もつかめます。

また、運用スタイルがアクティブ運用なら必ずしも指標の動きと成果が一致しない事を認識しておくべきです。

無論、毎月の運用レポートで株式構成の変化や価格の動き、運用方針の変更有無等を確認しながら運用する方法もあります。しかし、確認に費やす労力を考えた場合、それに見合う成果が挙げられているか否かの方を考える方がいいと思います。

極端に言えば、相応の管理料を受け取り、その代わりに目安となる収益を上げることを目標に管理を任されているのが投資信託なのですから、手数料を支払う側は管理をある程度割り引いて考えても良いと思います。

第4講 まとめ

投資を開始する前に

①為替リスクがあるか、

②投資先の国の信用リスクは高いか、

③投資株式群の指標は何か、

を確認し、

投資を開始した後は

①為替の動き、

②投資先の国の政治・経済等の動き、

③世界的な景気の動き、

もし運用銘柄等が分るなら④発行体・発行業界の動き等、

を確認しておく。

これだけでも相応のパフォーマンスを確保できる可能性は高くなります。

投資である以上、価格変動は避けることが出来ません。要は自分が価格変動の要因を理解できない先へ投資されている信託を選ばないことが大切なのです。

また、価格変動は避けることは出来ませんが、緩和する方法はあります。ドルコスト平均法と呼ばれているのがその基本的な方法です。

ドルコスト平均法については別稿でお伝えします。

介護費用を支払う時の考え方

親が認知症等になってしまい、急に入院費の支払が必要となった場合の支払方法について考えてみます。

子が自分の手元資金から支払う場合もありますし、親の口座から払出を行う場合もあります。支払を受ける側にとっては違いはないのですが、支払う側にとっては後々思わぬ影響が生ずることがあります。

以下で、子が今まで確定申告で親にかかった医療費を医療費控除として申告していた場合(親と生計を一にしていた場合)と、子が親の確定申告に一切関わっていなかった場合(子の確定申告で親の医療費を医療費控除として申告していなかった場合、いわゆる生計を一にしていなかった場合)に分けて考えて行きます。

1.親と生計を一にしていない場合

親と生計を一にしている、とは「常に子が親の生活費や療養費を負担している」場合です。

生計を一にしていないとは「常には子が親の生活費や医療費を負担していない」場合です。

いわば、親が一人暮らしで毎年の確定申告を自分で行い、医療費控除も自分で行っている場合等は生計を一にしていないと言えるでしょう。

このようなケースで子が親の入院費等の立替を行った場合、領収書や記録など、子が立替払いを行ったことを証明できる書類等を残しておくことで、将来相続が発生したときに「負の相続財産」として親の財産から立替分を回収することが出来ます。

無論、親が生きている間は、立替分として清算して頂くことも可能です。

しかし、立替払いを行って、都度清算して貰っていても、親の認知症等が進行し、意思表示も筆記も出来なくなったら預金の払出は出来なくなります。

この場合も、領収書等立替払いを行っている事を証明できる書類のある事が大切になります。金融機関に対して親の預金から清算を求める権利を持っている事を証する書類となるからです。

親の相続が開始するまで立替を継続できるなら相続手続きを待って清算すればいいのですが、立替金額は大抵どんどん増えて行きます。

親の相続開始前に、法定後見人を選任して清算して貰う方法もありますが、後見人を選任した場合、以降は後見人への管理手数料が、原則被相続人である親が亡くなるまで発生し続けます。

立替費用の清算だけなら、領収書等の書類を使って金融機関と払出の相談を行うことをお勧めします。

2.親と生計を一にしている場合

親と生計を一にしている場合は、おそらく毎年の確定申告で親の医療費を医療費控除の対象としていると思います。入院費も同様、医療費控除の対象となります。従って全て子の懐から支払われる費用となりますので、立替という考え方はとられません。

相続が発生した場合も「負の相続財産」とはなりません。遺産分割協議において「寄与分」として、支払った医療費を加味した相続財産を頂きたい旨を他の相続人と交渉する必要があります。

3.親としてとれる対策

高齢となった親が入院した場合、症状が急変し、親族の対応が後手に回ってしまうことが多くあります。とりあえず支払っておく、という事も当然発生します。

人は誰でも齢をとり、形はどうあれ、いつかは状況が自分では儘ならなくなります。

子と生計を一にしていようといまいと、将来かかる医療費程度は贈与税の非課税枠を利用して子に渡しておく方が無難でしょう。

親の名義の預金では意思表示が出来なくなった場合に払出できなくなります。身体が動く間は、あるいは話が出来る間は、等と考えて何ら対策をしないまま認知症に至ってしまう方が多い様ですが、対策をとっていた場合と、とっていなかった場合では子への負担の大きさは雲泥の差となります。

具体的には少しづつでも毎年、子に資産を渡しておくことをお勧めします。現在の税法では受け取る側において年110万円までの贈与は非課税となります。また一定の金額以上の医療費がかかった場合は高額医療費として申請することで、一定額以上の支払額を還付して貰えます。

幾らが適切かは一概に言えませんが、

①合計100万円程度は数年かけて子に渡して管理してもらう

②万一の場合はそのお金から入院費を出してもらい、健康保険制度の高額医療費の申請を行って貰う

③子には必ず領収書を保管しておく様に指示しておく

以上の3点を子と話し合っておくだけでも、万一のときの対策として相応の効果が期待できます。

生命保険などを利用する方法もありますが、いざという時に支払要件に該当しているか否かは誰にも予測出来ません。不確実な将来に対してある程度柔軟な対応が出来るカードを子に持たせておくことが一番必要なのです。

生命保険金を渡すときの条件

銀行が生命保険を販売するようになって以来、窓口で資産運用の1つとして生命保険のセールスや生命保険金控除の紹介をされたことのある方は多いと思います。

「500万円×税法上の法定相続人の数」が非課税限度額として全ての相続人が受け取った生命保険金から控除されること、生命保険金は遺産分割協議の対象とならないので渡したい方に渡すことが出来る事は、よく知られています。

ただ、中には「他の相続人に知られることなく、渡したい方に渡すことが出来ます」等の謳い文句でセールスが行われる場合があります。

確かに生命保険金は遺産分割協議の対象外です。

しかし、他の相続人に知られることなく、となると一定の条件が必要となります。

確認すべき事項は2つです。

1つ目は相続税の基礎控除額です。

相続税の基礎控除額は「3000万円+600万円×税法上の法定相続人の数」で算出されます。

例えば相続人が、配偶者と子2名なら、3000万円+600万円×3名=4800万円が基礎控除額となります。

この場合、相続財産が4800万円以内なら相続税の申告は不要となります。申告不要なら遺産分割協議書が出来ればそれに従って相続財産が分割されます。遺産分割協議書の掲載対象とならない生命保険金は表に出てきません。

ここで気を付けるべきことは「税法上の法定相続人の数」です。

養子がいれば法定相続人の数に加算できますが、加算可能な養子の数は、①実子がいるか、実子がなく養子が1名の場合は1名、②実子がなく養子が2名以上である場合は2名となります。

相続人が配偶者と子2名で、養子が2名いた場合なら、上記①のケースに該当するので、税法上の法定相続人の数は5名ではなく、4名(配偶者、実子2名、養子1名)となります。

また、相続放棄があった場合もなかったものとして法定相続人の数を数えます。例えば相続人が配偶者と子1名、被相続人の両親はおらず、その代わり被相続人に兄弟姉妹8人がいる場合。仮に子が相続放棄をした場合、民法上、法定相続人は配偶者と兄弟姉妹の合計9名となります。しかし、税法上は放棄があってもなかったものとして考えますので、放棄前の数が採用され、法定相続人は2名となります。

2つ目は、生命保険金が「みなし相続財産」となることです。つまり本来の相続財産ではないものの、民法と違い相続税法上は相続財産とみなされて課税対象となるのです。

「500万円×税法上の法定相続人の数」が生命保険金の非課税限度額となることは既に示した通りです。つまり本来の相続財産とみなし相続財産の合計が基礎控除額+非課税限度額に満たない場合は申告不要となる可能性がありますが、限度額合計を超えると確定申告が必要となり、特に生命保険金は誰が幾ら受け取ったのか申告書に明記されますし、申告時には相続人全員の同意が必要となるのです。また、生命保険金の非課税限度額は相続人が受け取った保険金にしか適用されません。

ここで例として、相続人が配偶者と子2名の計3名、相続財産が4500万円の土地建物と相続人あての生命保険金1000万円の合計5500万円の場合を考えてみます。

相続税の基礎控除額は3000万円+3名×600万円=4800万円となります。

生命保険金非課税限度額は500万円×法定相続人の数3名=1500万円となります。

控除額合計は6300万円となり、各相続財産は基礎控除額、非課税限度額内に収まり、申告不要となります。

しかし、仮に生命保険金のうち500万円の受取人が法定相続人である子、残りの500万円の受取人が法定相続人でない方(例えば被相続人の母)だった場合は結果が違ってきます。

相続人である子への保険金は非課税限度額の対象ですが、相続人でない母への保険金は対象とされません。

そのため課税価額は土地建物4500万円+母への保険金500万円=5000万円>基礎控除額4800万円となり、相続税の申告が必要となり、遺産分割協議書には記載されないものの、相続税申告の段階で他の相続人に知られる可能性が出てきます。

以上のように、金融機関のセールストークの中には一定の要件が整っていなければ成立しないにも拘わらず、説明担当者の理解不足等により十分な説明のないまま案内されるものもあります。

ご自身の亡き後の事をご検討される場合は、セカンドオピニオンとして税理士やFP等をご利用頂き、確認や検証をしておくことをお勧めします。

生前贈与加算の改正と老後の暦年贈与活用

贈与税の暦年贈与非課税枠の利用を考えている方にとって2024年1月1日からの生前贈与加算改正は確認しておくべき事項です。

ここでは改めて贈与税の暦年贈与非課税枠を利用するときの考え方を見直してみます。

1.生前贈与加算の改正

従来、相続開始前3年間に発生した贈与は、相続が発生した場合は相続税額計算上、課税対象として扱われてきました。

贈与税は暦年贈与非課税枠を設け、受贈者当り年110万円以内の贈与は非課税とされていますが、相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象とされてきた訳です。つまり、過去10年間毎年110万円の非課税贈与を行っていたとしても、相続が発生すれば相続開始前3年間の贈与は相続税の対象とされ、非課税で贈与できた金額は7年分の770万円という事になります。

今回の改正では生前贈与加算の対象が3年から7年に変更されます。

2024年1月1日に施行され、26年12月末までは3年間、27年12月末までは4年間、28年12月末までは5年間、29年12月末までは6年間、30年1月1日以降は7年間の生前贈与加算とすることで完成となります。

仮に23年1月から10年間、毎年110万円の非課税贈与を行って、33年に相続が発生した場合、7年分770万円が生前贈与加算され、非課税で贈与できた金額は330万円となってしまうわけです。

これでは今更、生前贈与を行っても意味がない、と考える方もいるかも知れません。しかし家庭の資金繰りから見ると別の有効性が見えてきます。

2.生前贈与の本当の有効性

ここに770万円の預金を持つ高齢者と一人息子がいます。仮に相続税の計算上、非課税枠は0とします。暦年贈与を行わないまま4年が経ち、高齢者が痴呆症になってしまいました。入院費は年100万円かかります。

痴呆症で意思疎通が出来なくなると、金融機関は預金を凍結します。親の口座から入院費は引き出せなくなります。3年後、高齢者は亡くなり、770万円の預金が残りますが、息子は3年分の入院費300万円を立て替えています。これは負の相続財産として認められます(※)ので相続税の計算をする際は770万円-300万円=470万円が課税対象となります。

(※)負の財産と認められるには息子が立替を行っていた事を証明できる領収書やメモ等の記録が残っていること、親の治療費を息子の医療費控除分として申告していないこと等の要件が必要となります。

今度は110万円の贈与税暦年贈与非課税枠を利用していた場合を考えてみます。年110万円の贈与を4年間行った後、高齢者が痴呆症に罹ります。以降は意思確認が出来ないため預金の払出は出来ません。しかし息子の手元には440万円があります。高齢者は3年後に亡くなり、330万円の預金が残っていますが、息子は300万円の入院費を立て替えてます。相続税の計算上、330万円+440万円-300万円=470万円が課税対象となります。

生前贈与してもしなくても470万円が課税対象となるわけで、違いはありません。

しかし、生前贈与をしていなかった場合、300万円は全て息子の手元資金から充てなければなりません。相続開始後に回収できるものの、当面自由にならない資金が300万円+親の預金770万円=1,070万円となるわけです。

一方、生前贈与を行っていた場合、入院費は生前贈与分440万円から充当できます。3年後高齢者が亡くなった時も手元には140万円残っています。自由にならない資金は高齢者の預金330万円だけだったわけです。

1,070万円と330万円の差は資金の効率的な活用を考えると小さなものではありません。

高齢者が入院した場合、「入院費をどうするか」が多くの家庭で問題となります。

大抵の方は、親がまだ介護が不要な時に「親が亡くなった時」の相続税の心配をされます。しかし、相続の前には「介護」があります。大抵の方はこの点に気付かず、親の介護に直面したときに大変な苦労をされるのです。

ご本人の意思表示が困難になった場合、ご本人の預金からの払出は出来なくなります。相続税を考える前に「介護のことも考えて贈与税の非課税枠を利用する」という事こそ、老後の暦年贈与非課税枠利用を考える上で必要な視点なのです。

そして、必ずFPや税理士等に相談してみる事をお勧めします。きっと力になって頂ける事と思います。

労働問題・あっせんと調停の違い

退職金の支払い等が就業規則通りに行われないで困っているが、労働裁判までは起こしたくない場合、労働局や社会保険労務士会等のHPを見ると、労使の話し合いによる解決方法として「あっせん」や「調停」という制度が紹介されています。

両者にはどのような違いがあるのかを簡単に説明します。

「あっせん」とは従業員又は事業主が労働局や社会保険労務士会に申し込みを行い、指定日に従業員と事業主が集まって、労働局や社会保険労務士が立会人として間に立って一方の申出内容を聞き取り、それを相手方に伝え、それに対する反論を聞き取り、再び相手方に伝える、という行為を繰り返し、意見の一致を図る手続きです。

1日で終了し、2回程度の意見交換を行い、両者の意見が一致した場合は勿論のこと、一致しない場合も、一致しないという事をもって終了となります。

「あっせん」の際、立会人は話し合いに意見を挟みません。あくまでも当事者間の了承を旨とし、アドバイスを行ったとしても結論を導くことまでは行いません。

無料で行えますが、対象が労働法の違反等、明らかに具体的な法律違反である場合は、制度の目的が「意見の一致を図る」ことである故、解決方法としては馴染まない可能性があります。

「調停」とは従業員または事業主が家庭裁判所に申請を行う事により開始する制度です。

手数料が必要で、賠償金として求める額により金額が変わってきます。又、手数料は申請者負担となります。

調停人は弁護士、社会保険労務士等が行い、指定日に従業員と事業主が家庭裁判所に集まり、調停人が間に立って両者の申出内容を聞き、相手方に伝え、それに対する反論を聞き取り、再び相手方に伝えます。

「あっせん」との大きな相違点は①両者の意見が一致するまで、又は一致しないことが明らかとなるまで、何回でも行われる点です。1日で終わるとは限りません。

また、②対象となる問題が労働法の違反等、具体的な法律違反である場合には、調停人からの意見が入る事も大きな相違点です。「調停」が不成立になった場合、労働裁判に移行することも多い為、非公開とは言うものの、調停人の意見も法律に則ったものとなる傾向が強い様です。

概して労働問題は事業主側の立場が強い為、従業員側に十分な情報がない事から、従業員側が泣き寝入りせざるを得なくなりがちです。

関係する法律が多岐に渡り問題を整理するのに手間がかかる上、相談できる所も限られ、何処から手を付けていいのか分からなくなることも原因として考えられます。

解決に当たっては、先ずはFPや社会保険労務士に相談し、問題の整理から始める事をお勧めします。

口座売買の誘惑

昨今、手軽にお金を稼ぎたければ、「アプリ等で新規預金口座を開設して貰えば、それを高値で買い取ります」等との宣伝が増えているようです。

多くはネットなどを通じて高額な報酬と「万一、問い合わせがあっても『知らなかった、身に覚えがない、口座を止めてもらって構わない』等と言えば犯罪にはなりません」等の謳い文句誘われるケースが多い様です。

犯罪にはならないとの謳い文句を信じて売却される方もいる様ですが、そんなことはありません。

あなた名義の口座は売却後、あなた名義で、口座開設時のあなたの本人確認書類がついたままマネーロンダリングに使われます。

口座に不審な入出金が発生したら、すぐ金融機関のチェックが入ります。

金融機関は名義人あて電話連絡し、取引等の内容を確認します。

何回か電話してつながらなければ犯罪に使われている可能性濃厚と判断されてしまいます。

連絡が着けば取引内容について質問されます。ここで万一、問い合わせがあっても『知らなかった、身に覚えがない、口座を止めてもらって構わない』等と言えば犯罪にはなりません」との言葉を信じてその通りに対応したとしても、それで事は済みません。

金融機関にはあなたの本人確認書類の写しがあります。

あなたの口座に振り込まれた履歴は把握していますし、あなたの口座からの振込取引も、誰が、何処の金融機関の、誰に送金したのか、すべて把握しています。

「身に覚えがない」と言った所で、あなたの名前を使って、あなた以外の誰が、何処の金融機関の、誰あてに幾ら送金したか把握された時点で、口座が不正利用されたと判断され、あなたは共犯者とみなされます。

あなたの名前は警察を含めた金融機関のネットワークに記録され、今後金融機関があなたの名前を検索する都度、アラームが表示されますし、新たな口座を作ろうとする際には、それなりの方として対応される事となります。

最悪、新たな口座は一切作れなくなり、振込手続きが出来なくなる可能性もあります。

またそれらの記録が、あなたを投資詐欺等の被告とした裁判の証拠となる事もあります。

ネットワーク社会の発展に伴い、預金口座開設手続きも容易なものとなって来ています。

しかしそれは犯罪に巻き込まれることも容易なものとなって来た事を意味しています。

犯罪者は常に甘い言葉であなたを誘ってきます。目先の欲に惑わされることのない様、お気を付け下さい。